減価償却費とは|鉄道の時代に生まれた、利益で事業を見るための考え方
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ユアトリー編集部融資の審査実務の経験者が監修しています
この記事の結論
- 減価償却費とは、設備などを買ったときのお金を、使う年数に分けて少しずつ費用にしたものです。
- 費用として利益を減らしますが、その年にお金が出ていくわけではありません。お金は、設備を買ったときにまとめて出ています。
- そのため、返済の元手や資金繰りを考えるときは、利益に減価償却費を足し戻して考えます。
ひとことで言うと
減価償却費とは、設備などを買ったときのお金を、使う年数に分けて少しずつ費用にしたものです。
なぜ生まれたのか
減価償却の考え方が広まったのは、19世紀の鉄道会社だと言われています。産業革命のあと、欧米で鉄道が次々と建設された時代です。
鉄道は、レールや駅、機関車に、最初に莫大なお金がかかります。そして、そのお金を何十年もかけて、運賃で少しずつ回収していく事業です。
ここで困ったことが起こります。建設した年に、かかったお金をすべて費用にすると、その年は巨額の赤字です。翌年からは費用がほとんどなく、大きな黒字が続きます。これでは、事業がうまくいっているのか、株主にいくら配当を出してよいのかが分かりません。お金の出入りだけを見ていては、何十年続く事業の実力は測れなかったのです。
そこで、設備のお金を、使う年数に分けて少しずつ費用にする方法が使われるようになりました。こうすれば、毎年の利益は「その年に設備を使って稼いだ分」から「その年に使った設備の分」を引いたものになり、事業の実力を年ごとに比べられます。巨額の設備を長く使う事業に、株主や銀行が安心してお金を出せるようになったのは、この考え方があったからだと言われています。
減価償却は、お金の出入りではなく、利益で事業を見るための会計における発明だったと言えます。
もう少し詳しく
計算の例
300万円の設備を買って5年使う場合、毎年同じ額ずつ費用にする方法(定額法)なら、300万円 ÷ 5年 = 毎年60万円が減価償却費になります(わかりやすくするための概算です)。何年に分けるか(耐用年数)や計算のしかたは、資産の種類ごとに税法で決まっています。金額の小さいものは買った年に全額を費用にできる場合もあるので、実際の扱いは税理士に確認しましょう。
利益とお金がズレる
利益で事業を見られるようになった一方で、利益と手元のお金はズレるようになりました。減価償却費は、費用として利益を減らします。一方で、お金は設備を買ったときにまとめて支払っており、減価償却費を計上した年にその金額が出ていくわけではありません。
| 損益計算書(利益) | 手元のお金 | |
|---|---|---|
| 設備を買った年 | 減価償却費60万円だけが費用になる | 300万円が出ていく |
| 2年目〜5年目 | 毎年、減価償却費60万円が費用になる | 出ていかない |
このズレのため、減価償却費は「お金が出ていかない費用」と言われます。借入を返済する原資を考えるときに、利益に減価償却費を足し戻すのはこのためです。詳しくは返済原資で説明しています。
事業の実力は利益で見て、借入の返済能力はお金(キャッシュ・フロー)で見る。減価償却費は、この2つの見方をつなぐ大切な数字です。
よくある誤解
- 「返済できるかだけを見るなら、減価償却費は入れても入れなくても同じ」:返済原資は利益に減価償却費を足し戻すので、確かに大きくは変わりません(税金の分だけ差が出ます)。ただ、金融機関は「返せるか」と合わせて「融資の前後で利益率がよくなるか」も見ています。返済できる計算でも、利益率が悪くなる融資はよい融資とは言えません。減価償却費でこの判断が可能になります
- 「減価償却費の分だけ、お金が貯まる」:減価償却費を足し戻すのは、その年にお金が出ていかないからです。お金そのものは、設備を買ったときにすでに出ています。新しくお金が増えるわけではありません
- 「設備を買った年は、その代金がすべて費用になる」:多くの設備は、使う年数に分けて費用になります。買った年の利益は、代金の分だけ減るわけではありません。その分、買った年は利益よりお金の減り方が大きくなります
- 「減価償却が終われば、設備の心配はいらない」:減価償却が終わるころには、設備の買い替えが近づいています。買い替えのお金をどう用意するかも、早めに考えておきましょう