融資の返済シミュレーション|元金均等と元利均等、据置期間で返済はどう変わるか
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ユアトリー編集部融資の審査実務の経験者が監修しています
この記事の結論
- 返済額は「借入金額・金利・返済期間・据置期間・返済方法・保証料」の6つで決まります。比べるときは、この6つをそろえて並べるのが基本です。
- 元金均等返済は利息の総額が少なく、元利均等返済は毎月の返済額が一定です。どちらを選ぶかより、担当者は「利益で無理なく返せるか」を見ています。
- 返済は損益計算書に出てきません。「利益+減価償却費」で返せるかを、借りる前にあなた自身で確かめておきましょう。
融資の相談をすると、担当者から「返済期間は何年にしますか」「据置期間は付けますか」と聞かれます。どれを選ぶかで、毎月の返済額も、最終的に払う利息も変わります。
この記事では、事業の借入の返済額が何で決まるのか、元金均等返済と元利均等返済の違い、据置期間の効果と注意点を、計算例を使って解説します。あわせて、担当者が返済の計画のどこを見ているかを、融資の審査の経験をもとにお伝えします。
返済額を決める6つの条件
事業の借入の返済額は、次の6つの組み合わせで決まります。
| 条件 | 意味 | 返済への影響 |
|---|---|---|
| 借入金額 | 借りる元金(がんきん) | 多いほど、毎月の返済も利息も増える |
| 金利 | 元金に対してかかる利息の割合 | 高いほど利息が増える |
| 返済期間 | 返し終わるまでの期間 | 長いほど毎月の返済は軽く、利息の総額は増える |
| 据置期間 | 元金を返さず、利息だけを払う期間 | 借入直後の返済負担は軽くなるが、据置期間後の返済が重くなる |
| 返済方法 | 元金均等返済か、元利均等返済か | 毎月の返済額の形と、利息の総額が変わる |
| 保証料 | 保証協会付き融資で、保証協会に払うお金 | 金利とは別にかかるコスト |
金融機関や制度を比べるときは、この6つをそろえて並べるのが基本です。たとえば沖縄では、沖縄振興開発金融公庫(以下、沖縄公庫)の創業融資は保証料がかからず、県の制度(保証協会付き)は保証料がかかります(2026年10月時点)。金利だけを比べると、判断を誤ります。詳しくは沖縄公庫の創業融資の記事で比べています。
担当者の側から見ると、この6つは「あなたの事業の利益で、無理なく返せる形になっているか」を確かめるための材料です。条件の組み合わせが、事業の利益の出方と合っているかを見ています。
元金均等返済と元利均等返済
2つの違い
- 元金均等返済:毎月返す元金を同じ額にする方法。利息は残高に対してかかるので、返済が進むほど毎月の返済額が減っていきます
- 元利均等返済:毎月返す元金と利息の合計を同じ額にする方法。最初は利息の割合が多く、元金がなかなか減りません
計算例で比べる
500万円を、年2.0%、7年(84回)で借りた場合です。
| 元金均等返済 | 元利均等返済 | |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 2回目 68,300円 → 最終回 60,100円(初回は28,333円) | 毎月 63,837円 |
| 利息の総額 | 356,933円 | 362,283円 |
| 返済の総額 | 5,356,933円 | 5,362,283円 |
※金利は月割りで計算しています。元金均等返済は毎月の元金を千円単位の60,000円にそろえ、割り切れない分を初回で調整するため、初回だけ元金20,000円+利息8,333円=28,333円になります(公庫方式)。実際の返済額は、金融機関の計算方法によって多少変わります。
元金均等返済の方が、利息の総額は少なくなります。元金が早く減るので、利息のかかる残高も早く減るためです。一方で、返済が始まった直後の負担は元金均等返済の方が重くなります。開業直後の手元のお金に余裕がない場合は、この差も考えに入れましょう。
2026年10月時点では、創業融資は金融機関の違いによらず元金均等返済が多い印象です。どの返済方法を選べるかは金融機関や制度によって違うので、相談のときに担当者に確認しましょう。
据置期間は「付ければ得」ではない
据置期間とは
据置期間は、元金を返さず、利息だけを払う期間です。売上がまだ立ち上がらない開業直後の負担を軽くするために使います。日本政策金融公庫(以下、日本公庫)と沖縄公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、設備資金・運転資金ともに5年以内の据置期間を設けられます(2026年10月時点)。
計算例:据置期間を1年付けると
同じ500万円・年2.0%・返済期間7年で、最初の1年を据置にした場合(残りの6年・72回で元金均等返済)です。
| 据置なし | 据置1年 | |
|---|---|---|
| 最初の1年の毎月の返済額 | 約68,300円 | 8,333円(利息のみ) |
| 元金の返済が始まってからの毎月の返済額 | 68,300円〜 | 77,165円〜 |
| 利息の総額 | 356,933円 | 402,269円 |
※元金の端数を調整する月(据置なしは初回の28,333円、据置1年は13回目の109,333円)は除いています。
最初の1年はぐっと軽くなりますが、その後の返済は据置なしより重くなり、利息の総額も増えます。返済期間の長さが同じなら、元金を返す期間が短くなるからです。
担当者は「なぜその長さか」を見る
据置期間は、売上が立ち上がるまでの時間を買うものです。その間に売上が計画どおりに伸びなければ、据置が明けた瞬間に返済が一気に重くなります。
そのため担当者は、あなたが希望する据置期間の長さが、創業計画書の売上の立ち上がり方と合っているかを見ます。「開業から半年で軌道に乗る」計画なのに据置を2年希望していれば、計画と希望が食い違っていることになります。「とりあえず長めに」ではなく、売上が立ち上がるまでに実際に必要な期間に合わせて決め、その理由を説明できるようにしておきましょう。
返済は「利益」から出ていく
返済は損益計算書に出てこない
借入の返済は、損益計算書の費用には入りません。借入返済は貸借対照表の負債科目の減少であり費用ではないからです(利息は損益計算書の営業外費用に計上されます)。
そのため、損益計算書では黒字なのに(=利益が出ているのに)、借入返済で手元のお金が減っていく、ということが起こります。
この説明をよく理解できない場合、経営者に求められる簿記・会計の知識が足りていません。勉強しましょう!
返済の原資は「利益+減価償却費」で考える
担当者が返済できるかを見るときは、税引後の利益に減価償却費を足したものを、返済の原資(返済原資)として考えます。減価償却費は損益計算書の費用(販売費及び一般管理費)として計上されますが、実際にはお金が出ていく訳ではないからです。
年間の元金返済額 < 税引後の利益 + 減価償却費
この関係が成り立っていれば、事業で生んだお金の範囲で返せる計画です。成り立っていなければ、返済のためにお金を取り崩すことになり、審査でも厳しく見られます。
上の計算例(500万円・7年・元金均等返済)なら、毎月の元金は60,000円なので、年間の元金返済額は72万円です。あなたの事業の利益と減価償却費の合計が、少なくともこれを上回っている必要があります。
返済条件の決め方
- 借入金額を必要な分に絞る:多めに借りると、それだけ利息も元金返済も大きくなります。「出来るだけ借りたい」気持ちも分かりますが、資金の使い道を丁寧に積み上げて決めましょう
- 返済期間は、設備の使用年数と利益の出方に合わせる:長く使う設備なら長めに、運転資金は短めに、が基本です
- 据置期間は、売上が立ち上がるまでの期間に合わせる
- 返済方法を選べるなら、手元のお金の余裕と利息の総額の両方で考える
- 保証料を含めた支払いの総額で、制度や金融機関を比べる
担当者に「なぜその条件にしたいのか」を説明する時に、あなたの言葉で伝えられるように準備しておきましょう。
Dettory で比べる
Dettory は、融資の返済条件を横に並べて比べられるツールです。
- 返済の条件を細かく設定 借入金額・金利・返済期間・据置期間・返済方法・保証料率を入れられます
- 複数の条件を横に並べる 「据置1年と据置なし」「公庫と県の制度」のような比較ができます
- 計算しなくてもひと目で 毎月の返済額や利息の総額を、自分で計算しなくても比べられます
- 端数の調整も選べる 元金の端数を初回で調整する公庫方式と、最終回で調整する保証協会方式を選べます
まとめ
- 返済額は、借入金額・金利・返済期間・据置期間・返済方法・保証料の6つで決まる
- 元金均等返済は利息の総額が少なく、元利均等返済は毎月の返済額が一定
- 据置期間は開業直後のを軽くするが、その後の返済と利息の総額は重くなる。長さの理由を説明できるように
- 返済は損益計算書に出てこない。担当者は「利益+減価償却費」と返済額を並べて見ている
- 比べるときは、保証料を含めた総額で見る