沖縄振興開発金融公庫の創業計画書は、沖縄県内で事業を始める人向けの様式です。設備資金と運転資金の内訳を分けて求められるため、見積書との突き合わせがしやすい形になっています。ここでは架空の事業者の計画書を4つのステップで埋めていきます。
例に使う事業者
マリンツアー ちゅら海企画(架空)
恩納村でシュノーケリングツアーを始める設定です。ダイビングショップ勤務の経験がある個人が、小型船1隻で独立します。
STEP 1 / 4
1. 創業の動機と経営者の略歴
観光業は季節と天候に左右されます。だからこそ、経験がどれだけあるかがこの欄で強く効きます。
- 創業の動機
- 恩納村のダイビングショップで7年間ガイドを務め、うち3年はツアー全体の運航判断を任されていました。前職では受け入れきれなかった少人数・貸切の依頼が年間を通じてあり、その層に絞った店として独立します。
- 経営者の略歴(1)
- 2019年3月〜2026年3月 ◯◯マリンサービス ガイド 年間ツアー本数480本・事故0件
- 経営者の略歴(2)
- 2023年4月〜2026年3月 同社 運航責任者 中止判断・船舶整備・スタッフ4名の管理
- 取得資格
- 小型船舶操縦士1級(2018年)/PADIダイブマスター(2020年)/潜水士(2021年)
よくある書き方
海が好きで、沖縄の海の魅力を多くの観光客に伝えたいと思い、マリンツアーの会社を立ち上げます。
伝わる書き方
恩納村のダイビングショップで7年間ガイドを務め、うち3年はツアー全体の運航判断を任されていました。前職では受け入れきれなかった少人数・貸切の依頼が年間を通じてあり、その層に絞った店として独立します。
担当者はここを見ています
海に関わる事業では、事故を起こさずに何年続けたかが最も重い実績になります。弱い方には、その情報が一つも入っていません。強い方は、本数と事故0件という確かめられる数字があり、さらに「前職で断っていた需要」という形で独立後の客の当てまで示しています。運航責任者として中止判断をしていた経歴は、天候で売上が飛ぶ商売において、無理をしない人だという判断材料になります。
2. 必要な資金と調達方法(設備・運転の内訳)
この様式では設備資金と運転資金を分けて内訳まで書きます。見積書をそのまま写せる形で埋めるのが早道です。
- 設備資金:小型船(中古・9人乗り)
- 4,300,000円
- 設備資金:船外機オーバーホール
- 620,000円
- 設備資金:ウェットスーツ・器材一式(12set)
- 780,000円
- 運転資金:燃料・保険・係留費(3か月分)
- 900,000円
- 自己資金
- 2,600,000円
- 沖縄振興開発金融公庫からの借入
- 4,000,000円
- 合計
- 6,600,000円(左右一致)
担当者はここを見ています
船のように金額の大きい設備がある事業では、その1点で借入額の大半が決まります。中古か新品か、整備にいくらかけるかまで書いてあると、担当者は見積書と照合するだけで済みます。保険料を運転資金に入れているかどうかも見られます。マリンレジャーで保険を落とすことはあり得ないので、この欄に無いと、単に書き漏らしたのか、そもそも見込んでいないのかを確認されることになります。
3. 事業の見通し
創業当初と軌道に乗った後を書きますが、観光業では年間の波を前提にした数字にします。
- 売上高(創業当初・月平均)
- 1,120,000円
- 売上高(7〜9月・繁忙期の月)
- 1,638,000円
- 売上高(12〜2月・閑散期の月)
- 480,000円
- 燃料・保険・係留費(月)
- 298,000円
- 利益(軌道に乗った後・年)
- 4,320,000円
- 売上の根拠
- 1名6,500円 × 平均7名 × 1日2便 × 稼働18日=1,638,000円(繁忙期)/稼働日は天候中止率20%を反映
担当者はここを見ています
観光業で年間を平らに書いた計画は、まず信用されません。閑散期に売上が落ちることは担当者も分かっているので、そこを正直に凹ませたうえで、その月に返済ができるかを示すほうが評価されます。天候中止率を稼働日数に織り込んでいるのは、この事業でいちばん効く変数を分かっている証拠になります。晴天だけを前提にした本数で計算していると、そこを必ず指摘されます。
4. 取引先・取引関係等
直接の予約と、旅行会社経由の送客では、入金までの時間がまったく違います。それを書き分ける欄です。
- 販売先:個人予約(自社サイト・当日決済)
- 売上構成比 55%/回収 即金
- 販売先:◯◯旅行社(送客)
- 売上構成比 30%/回収 翌月末
- 販売先:県内ホテル2社(宿泊者向け)
- 売上構成比 15%/回収 翌月末
- 仕入・外注:燃料/船舶保険/係留
- 支払 当月末
担当者はここを見ています
旅行会社やホテル経由の売上は、その月に現金が入りません。繁忙期にいちばん忙しく動いて、その入金が翌月末になるとすれば、運転資金はその分を見ておく必要があります。この欄は、そこを担当者と共有するためのものです。送客元が複数あることも書いておきます。1社に頼った構成だと、その契約が切れた時点で計画の半分が消えるためです。
同じ様式を、Fintory でそのまま作成できます
沖縄振興開発金融公庫の創業計画書に対応しています。項目ごとの解説を見ながら入力し、Excel で出力できます。